最終更新日 2004年 2月 28日 (土) 5:09 PM


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Scene02 written by ナガハマ
Real Cool(リアルクール)=人生にハプニングはつきものである。その日、八ヶ岳高原の空はどこまでも高く、そして蒼かった。

 そう、それは、とても暑い夏の午後だった。ここは、霧ヶ峰高原。霧ヶ峰といえば、三菱電機。いや、それはエアコンだ。冷暖房インバーターで涼感省エネモード。そんなことは、どうでもいい。とにかく、ここは可憐なニッコウキスゲが咲く霧ヶ峰。爽やかな風に吹かれながら、男はつぶやいた。「Real Cool 」。

 彼が目指すものは、本物“Cool”。ハードボイルドな生き方を標榜する彼の皮パンのポケットにはいつも大藪春彦。金狼はいつ蘇るのだろうか。「ふっ、金狼。それはオレさ」とFJR1300に颯爽とまたがり、男はビーナスラインを走る。16ビートの風を感じながら、開けるスロットル。聞こえてくるのは、風の音とDeep Purple。もちろんナンバーは「HIGHWAY STAR」だ。音速のかなたに聞こえるギターはRichie Blackmore。決して王様ではない。

 熱い思いが滾りだす。こんなときは、苦く熱いブラック・コーヒーがよく似合う。峠でしばしのコーヒーブレイクといこう。青く澄み切った空。流れる白い雲。男は柵に腰をかけた。この地球の真ん中で「Cool 」と叫ぶ男は、大きく背伸びをした。

 次の瞬間、男の目に映ったものは、あくまでも青い空。開脚背面とび越し、開脚トカチェフ、伸身の1回ひねり。体操ニッポンと呼ばれた、1972年のミュンヘン五輪を彷彿させるような華麗な演技に、展望台は水を打ったような静寂が訪れた。次の瞬間、「ブラボー!」の声とともに、スタンディング・オーべーション。拍手が鳴りやむまで、男の脚はどこまでも、まっすぐに開いていた。まるで、余韻を楽しむかのように。

追記すれば、Real Cool Snoop(リアル・クール・スヌープ)とは。それは、アメリカのswagelok社製のネジ潤滑油。柵のネジなどが傷んだときの修復などに用いられる。


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